適合性原則とは?
適合性の原則とは「事業者は顧客に適合しない勧誘をしてはならない」というもので、事業者側の取引ルールとして金融商品取引で確立されてきた考え方です。
平成16年に消費者基本法で事業者の責務として【適合性原則】が導入され、これに反する行為を禁止し、違反者に対し指示や業務停止命令の対象とするなど事業者への規制として取り入れられています。
適合性原則の必要性
ではなぜ適合性原則という物が必要なのでしょうか?
現代には様々な金融商品があふれており、投資という行為は身近にあります。昔のように「投資はお金持ちのすること」と言う考え方は薄れ、今日では平均年収の世帯の方でも投資をする事は珍しくありません。皆さんの周りに居る友人や家族でも投資を行っている方は珍しく無くなっているのでは無いでしょうか?
しかしながら、投資を始める人が増加する一方で、全員が金融知識を保有していると言うことは無いため、販売事業者側の巧みな話術などで、ニーズに合わない商品を購入させられてしまう様なケースも増加してきました。
中でも取引の仕組みやリスクの説明が不十分だったといった、購入者と事業者の水掛け論に終始してしまうような場合、客観的な資料や事実が無い場合立証や認定が困難となり、かなりの期間裁判などで争う必要が出てくることも多くあります。
その為、適合性原則という事業者の責務として
「消費者との取引に際し、消費者の年齢、知識、経験、判断力及び財産の状況等に配慮しなければならない」
と詳細に規定し管理することで
そもそも消費者にそのような契約を勧誘すること自体が適切であったか
によって取引行為の不当性を認定することを可能としたのです。
実際のケース例
80歳で投資未経験の高齢者に15年後に10%の利益が予想される金融商品を販売したとします。
もちろん購入者の強い希望で商品を販売するケースもありますので、この取引自体が100%問題というわけではありませんが、適合性原則を当てはめて考えてみましょう。
15年後には95歳になる高齢者に向けて15年間も保有しなければいけない商品を販売するのは正しいことでしょうか?
そもそも80歳で投資未経験の高齢者が商品の内容やリスクを確りと把握できているでしょうか?
この様に、取引の内容に適合性原則を当てはめれば、その商品が購入者の 年齢、知識、経験、判断力及び財産の状況等に配慮した取引になっているかは一目瞭然です。
取引時の説明内容や、対応に付いて考えるのでは無く、そもそも取引を行おうという行為自体を合法か検討する為の制度と考えても良いでしょう。
まとめ
適合性原則 : そもそも勧誘が正当化を判断
事業者の説明を確りと聞いて、納得がいった場合のみ契約を行うと言うことは大前提ではありますが、実際にその説明を受けること自体が違法では無いのか?という点に着目するのがこの適合性原則です。
自分自身が被害にあっていると気づくケースは中々無いかと思われますが、この適合性原則に違反している事業者は絶対に信用してはいけません。
身近な方で被害に合われている方がいらっしゃった場合は、早急に相談窓口へ連絡するようにしましょう。