住宅ローンを組む際、多くの人が悩むのが「変動金利と固定金利のどちらを選ぶべきか」という問題です。
変動金利は当初の金利が低い傾向にあり、毎月の返済額を抑えやすい一方、将来的に金利が上昇するリスクがあります。固定金利は金利上昇の影響を受けにくく、返済計画を立てやすいものの、変動金利と比べて当初の金利が高くなる傾向があります。
また、住宅ローンは新規契約時だけでなく、返済途中で別の金融機関に借り換えることも可能です。現在の金利や残りの返済期間によっては、借換えによって総返済額を減らせる可能性があります。
この記事では、変動金利と固定金利の違い、それぞれのメリット・デメリット、住宅ローンの借換えによる効果、借換えを検討する際の注意点について解説します。
1.住宅ローンの変動金利と固定金利の違い
住宅ローンの金利タイプは、大きく分けて「変動金利型」と「固定金利型」の2種類があります。
固定金利型には、一定期間だけ金利を固定するタイプと、借入れから完済まで金利を固定するタイプがあります。
変動金利とは
変動金利とは、金融情勢などに応じて適用金利が見直される住宅ローンです。
一般的に、固定金利と比較して借入れ当初の金利が低く設定されていることが特徴です。そのため、同じ金額を借り入れる場合でも、当初の毎月の返済額を抑えやすくなります。
ただし、将来的に金利が上昇すると、利息負担が増加する可能性があります。
なお、金利が見直されるタイミングや返済額の変更ルールは金融機関や商品によって異なります。変動金利だからといって、金利が変わるたびに必ず毎月の返済額が変わるわけではありません。
固定金利とは
固定金利とは、あらかじめ定められた期間について適用金利が変わらない住宅ローンです。
固定金利には、主に次の2種類があります。
固定期間選択型
3年、5年、10年など、一定期間の金利を固定するタイプです。固定期間中は金利上昇の影響を受けませんが、固定期間終了後は、その時点の金利や契約条件に応じて適用金利が見直されます。
全期間固定型
借入れから完済まで金利が変わらないタイプです。代表的な商品として、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する「フラット35」などがあります。
全期間固定型は、将来の金利上昇によって返済額が増えるリスクを避けたい人に適しています。
このように、変動金利と固定金利の違いは、単に金利の高低だけではありません。将来の金利変動リスクを誰が負担するかという点も重要です。
参考:住宅金融支援機構
2.変動金利のメリット・デメリット
変動金利のメリット
① 当初の返済額を抑えやすい
変動金利の大きなメリットは、固定金利と比較して当初の適用金利が低い傾向にあることです。
借入額が大きい住宅ローンでは、わずかな金利差でも返済額に影響します。
低い金利で借り入れることができれば、毎月の返済負担を抑えやすくなります。
② 金利が低い状態で推移すれば利息負担を抑えられる
将来にわたって金利が低い水準で推移した場合、固定金利を選択した場合と比較して、総支払利息が少なくなる可能性があります。
特に、金利上昇に備えた資金的な余裕があり、毎月の返済額を抑えながら資産形成も進めたい人にとっては、選択肢の一つになります。
③ 繰上返済によって利息負担を減らしやすい
変動金利を利用して毎月の返済額を抑え、余裕資金を貯蓄しておく方法もあります。
その後、家計に余裕が生まれた段階で繰上返済を行えば、元本を減らし、将来の利息負担を軽減できる可能性があります。
ただし、繰上返済によって手元資金が不足しないよう、生活防衛資金を確保することが重要です。
変動金利のデメリット
① 将来的に金利が上昇するリスクがある
最大のデメリットは、将来の金利上昇によって利息負担が増える可能性があることです。
借入れ当初は低金利であっても、その後に金利が上昇すれば、当初の想定よりも総返済額が増えることがあります。
② 返済計画が立てにくい
金利の動向によって将来の返済負担が変わるため、長期的な家計管理が難しくなる場合があります。
教育費などの大きな支出が予定されている家庭では、住宅ローンの返済額が増加した場合に、家計全体へどの程度影響するかを確認しておく必要があります。
③ 金利上昇時に家計への負担が大きくなる
変動金利の返済額が当初から低く設定されている場合、金利上昇による負担増を想定していないと、家計の余裕が失われる可能性があります。
変動金利を選ぶ場合は、現在の金利で返済できるかだけでなく、金利が1%、2%上昇した場合でも返済を継続できるかを確認しておくことが大切です。
3.固定金利のメリット・デメリット
固定金利のメリット
① 金利上昇の影響を受けにくい
全期間固定型の場合、契約時に定められた金利が完済まで適用されるため、市場金利が上昇しても住宅ローンの適用金利は変わりません。
将来の金利上昇を心配せず、返済を続けられる点は大きなメリットです。
② 長期的な家計管理がしやすい
全期間固定型であれば、元利均等返済などの契約条件が変わらない限り、毎月の元利返済額を見通しやすくなります。
教育費、老後資金、車の買換えなど、将来の支出を計画する際にも住宅ローンの返済額を固定できることは安心材料になります。
③ 金利上昇への備えを重視できる
収入に対して住宅ローンの返済負担が大きい人や、金利上昇時に返済額が増えると家計への影響が大きい人にとって、固定金利はリスク管理の手段になります。
固定金利のデメリット
① 当初の金利が高い傾向にある
固定金利は、変動金利と比較して当初の適用金利が高くなる傾向があります。
そのため、借入れ当初の毎月の返済額や、金利が変動しなかった場合の総返済額は、変動金利よりも大きくなる可能性があります。
② 金利が低下しても自動的には恩恵を受けられない
全期間固定型では、市場金利が低下しても契約上の適用金利は変わりません。
低金利の恩恵を受けるには、借換えなどを検討する必要があります。ただし、借換えには諸費用がかかるため、金利が下がったからといって必ずしも借換えが有利になるわけではありません。
③ 固定期間終了後に金利が上昇する可能性がある
固定期間選択型では、固定期間中の金利は変わりませんが、固定期間終了後の金利まで保証されるわけではありません。
その時点の金利や契約条件によっては、返済負担が増加する可能性があります。
固定金利を選択する場合は、全期間固定型なのか、一定期間だけ固定される商品なのかを必ず確認しましょう。
4.変動金利と固定金利、どちらを選ぶべきか
変動金利と固定金利のどちらが有利かは、将来の金利動向だけでなく、家計の状況やリスクに対する考え方によっても変わります。
それぞれ、次のような人に向いています。
変動金利が向いている人
- 金利が上昇しても対応できるだけの家計の余裕がある人
- 貯蓄や繰上返済に回せる資金を確保できる人
- 当初の返済額をできるだけ抑えたい人
- 金利上昇時の返済額を試算し、必要に応じて対策を取れる人
固定金利が向いている人
- 将来の返済額をできるだけ確定させたい人
- 金利上昇による家計への影響を抑えたい人
- 教育費など、今後の大きな支出が予定されている人
- 返済額が増加した場合に、家計を調整する余裕が少ない人
重要なのは、金利がどちらの方向に動くかを正確に予測することではありません。
将来の金利動向を確実に予測することは難しいため、金利が上昇した場合でも無理なく返済を継続できるかという視点で判断することが大切です。
また、変動金利と固定金利を組み合わせるミックスローンという選択肢もあります。ただし、商品によって手数料などの負担が異なるため、組み合わせることで必ず有利になるわけではありません。
4.変動金利と固定金利、どちらを選ぶべきか
変動金利と固定金利のどちらが有利かは、将来の金利動向だけでなく、家計の状況やリスクに対する考え方によっても変わります。
それぞれ、次のような人に向いています。
変動金利が向いている人
- 金利が上昇しても対応できるだけの家計の余裕がある人
- 貯蓄や繰上返済に回せる資金を確保できる人
- 当初の返済額をできるだけ抑えたい人
- 金利上昇時の返済額を試算し、必要に応じて対策を取れる人
固定金利が向いている人
- 将来の返済額をできるだけ確定させたい人
- 金利上昇による家計への影響を抑えたい人
- 教育費など、今後の大きな支出が予定されている人
- 返済額が増加した場合に、家計を調整する余裕が少ない人
重要なのは、金利がどちらの方向に動くかを正確に予測することではありません。
将来の金利動向を確実に予測することは難しいため、金利が上昇した場合でも無理なく返済を継続できるかという視点で判断することが大切です。
また、変動金利と固定金利を組み合わせるミックスローンという選択肢もあります。ただし、商品によって手数料などの負担が異なるため、組み合わせることで必ず有利になるわけではありません。
5.住宅ローンの借換えとは?どのような効果があるのか
住宅ローンの借換えとは、現在返済している住宅ローンを別の金融機関などから借り入れた資金で完済し、新しい住宅ローンへ切り替えることです。
借換えの主な目的は、金利や返済条件を見直して、住宅ローンの負担を軽減することです。
① 総返済額を減らせる可能性がある
現在の住宅ローンよりも低い金利で借り換えられれば、今後支払う利息を減らせる可能性があります。
例えば、住宅ローンの残高が2,500万円、残りの返済期間が25年の場合を考えてみましょう。
金利が年1.5%から年0.8%に下がったと仮定すると、元利均等返済・ボーナス返済なし・金利が今後変わらないという条件では、概算で次のようになります。
| 項目 | 借換え前 | 借換え後 |
|---|---|---|
| ローン残高 | 2,500万円 | 2,500万円 |
| 適用金利 | 年1.5% | 年0.8% |
| 残りの返済期間 | 25年 | 25年 |
| 毎月の返済額 | 約10.0万円 | 約9.2万円 |
| 今後の総返済額 | 約3,000万円 | 約2,760万円 |
この条件では、毎月の返済額は約8,000円、今後の総返済額は約240万円減少する計算です。
ただし、これは借換えにかかる諸費用を考慮していない単純な試算です。実際の効果は、借換え後の金利、融資手数料、登記費用などによって変わります。
また、変動金利で借り換えた場合、将来の金利上昇によって試算どおりの結果にならない可能性もあります。
② 毎月の返済額を軽減できる
借換えによって金利が下がれば、毎月の返済額を減らせる場合があります。
住宅ローンの返済額が減れば、その分を教育費や生活費、貯蓄などに回すことができます。
特に、子どもの進学や車の買換えなど、大きな支出が重なる時期には、毎月の固定的な支出を減らす効果が期待できます。
ただし、借換え時に返済期間を延長すると、毎月の返済額は減っても、総返済額が増える場合があります。毎月の負担だけでなく、完済までに支払う金額も比較することが重要です。
③ 変動金利から固定金利へ変更できる
借換えは、金利を下げるためだけの手段ではありません。
例えば、現在は変動金利を利用しているものの、将来の金利上昇が不安になった場合、固定金利の商品へ借り換えることも検討できます。
この場合、変動金利のまま返済を続けるよりも金利が高くなる可能性はありますが、固定金利によって金利上昇リスクを抑えられます。
つまり、借換えには「返済額を減らす」という目的だけでなく、「将来の返済額を安定させる」という目的もあります。
6.住宅ローンの借換えにかかる費用と注意点
借換えを検討する際に見落としやすいのが、手続きにかかる諸費用です。
住宅ローンの借換えでは、一般的に次のような費用が発生します。
- 新しい金融機関に支払う融資事務手数料
- 抵当権の設定・抹消に関する登記費用
- 司法書士への報酬
- 契約内容に応じた印紙税など
- 現在の住宅ローンの繰上返済手数料など
具体的な費用や必要な手続きは、金融機関や商品、契約方法によって異なります。
そのため、借換え前後の金利だけを比較して判断するのは適切ではありません。
例えば、借換えによって総返済額が200万円減る見込みでも、諸費用が80万円かかるのであれば、単純計算で実質的なメリットは120万円です。
借換えに伴う諸費用を新しいローンに上乗せできる商品もありますが、その場合は借入額が増えるため、追加で発生する利息も考慮する必要があります。
また、借換えでは新たに審査を受けることになります。現在の収入や健康状態、物件の評価などによっては、希望する条件で借り換えられない場合もあります。
団体信用生命保険の保障内容が変わる可能性もあるため、金利だけでなく保障内容も比較しましょう。
6.住宅ローンの借換えにかかる費用と注意点
借換えを検討する際に見落としやすいのが、手続きにかかる諸費用です。
住宅ローンの借換えでは、一般的に次のような費用が発生します。
- 新しい金融機関に支払う融資事務手数料
- 抵当権の設定・抹消に関する登記費用
- 司法書士への報酬
- 契約内容に応じた印紙税など
- 現在の住宅ローンの繰上返済手数料など
具体的な費用や必要な手続きは、金融機関や商品、契約方法によって異なります。
そのため、借換え前後の金利だけを比較して判断するのは適切ではありません。
例えば、借換えによって総返済額が200万円減る見込みでも、諸費用が80万円かかるのであれば、単純計算で実質的なメリットは120万円です。
借換えに伴う諸費用を新しいローンに上乗せできる商品もありますが、その場合は借入額が増えるため、追加で発生する利息も考慮する必要があります。
また、借換えでは新たに審査を受けることになります。現在の収入や健康状態、物件の評価などによっては、希望する条件で借り換えられない場合もあります。
団体信用生命保険の保障内容が変わる可能性もあるため、金利だけでなく保障内容も比較しましょう。
7.住宅ローンの借換えを検討するタイミング
住宅ローンの借換えは、どのようなタイミングで検討するのがよいのでしょうか。
代表的なケースを紹介します。
現在の住宅ローンの金利が高い場合
現在の適用金利が、他の金融機関で利用できる金利よりも高い場合は、借換えによる効果を試算する価値があります。
ただし、広告などに表示されている金利が、そのまま自分に適用されるとは限りません。審査結果や契約条件によって適用金利が異なる場合があるため、実際に利用できる条件を確認しましょう。
住宅ローンの残高が多く、返済期間が長く残っている場合
借換えによる利息軽減効果は、一般的に、借入残高が大きく、残りの返済期間が長いほど生じやすくなります。
一方、返済が進んで残高が少なくなっていたり、完済までの期間が短くなっていたりする場合は、借換えによるメリットが諸費用を下回る可能性があります。
現在の金利タイプを見直したい場合
現在は変動金利を利用していて、今後の金利上昇が心配になった場合や、固定金利を利用しているものの、より有利な条件の商品が見つかった場合も、借換えを検討するタイミングです。
ただし、変動金利から固定金利へ変更する場合は、借換え後の金利が高くなることもあります。金利上昇リスクを軽減する効果と、追加で支払う利息や諸費用を比較して判断しましょう。
8.借換えを判断するために確認したい5つの項目
住宅ローンの借換えを検討する際は、次の5項目を確認しておきましょう。
① 現在の住宅ローン残高
残高が大きいほど、金利差による利息軽減効果が大きくなる可能性があります。
② 現在の適用金利と借換え後の適用金利
広告上の金利ではなく、実際に適用される予定の金利を比較することが重要です。
③ 残りの返済期間
返済期間が長いほど、金利差が総返済額に与える影響が大きくなりやすくなります。
④ 借換えに必要な諸費用
融資事務手数料、登記費用、繰上返済手数料などを含めて比較します。
⑤ 借換え後の総返済額と金利上昇リスク
現在の住宅ローンと借換え後の住宅ローンについて、完済までの総返済額を比較しましょう。変動金利を選ぶ場合は、金利が上昇したケースも試算しておくと安心です。
これらを確認したうえで、借換えによってどの程度のメリットが得られるのかを判断します。
9.まとめ:金利の低さだけでなく、将来の家計も考えて判断しよう
住宅ローンの変動金利と固定金利には、それぞれ異なるメリット・デメリットがあります。
変動金利は、当初の返済額を抑えやすく、金利が低い状態で推移すれば利息負担を軽減できる可能性があります。一方、将来の金利上昇によって返済負担が増えるリスクがあります。
固定金利は、金利上昇の影響を抑え、長期的な返済計画を立てやすいことがメリットです。ただし、変動金利よりも当初の金利が高くなる傾向があります。
また、住宅ローンは一度契約したら完済まで変更できないわけではありません。
返済途中でも、借換えによって金利や返済条件を見直すことができます。
借換えを検討する際は、金利差だけで判断せず、残高、残りの返済期間、諸費用、借換え後の総返済額を比較することが重要です。
最も大切なのは、目先の返済額だけでなく、将来の家計に無理のない返済計画を立てることです。
現在の住宅ローンの条件を定期的に確認し、自分の家計や今後のライフプランに合った金利タイプを選択していきましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品を推奨するものではありません。金利や融資条件、諸費用は金融機関や契約内容によって異なります。借換えの際は、各金融機関の最新情報を確認し、必要に応じて専門家へ相談してください。
最後までみてくれた方に特別に重要ポイントをお知らせ!
・金利は掲載時点の最新情報に更新する。
・金利水準は金融機関や商品によって異なる。
・借換え効果は諸費用を差し引いて評価する。
・毎月の返済額の減少と、総返済額の減少は分けて考える。
・変動金利の返済額変更ルールを一律に説明しない。
・いわゆる「5年ルール」「125%ルール」は、すべての住宅ローンに適用されるわけではない。


